研究概要 |
フェムト秒レーザー加工は,高い空間分解能を有し,ターゲットに対する熱的損傷の低減や,多光子吸収過程を介して透明材料内部へのマイクロボイドや屈折率変化の形成を可能とするため,3次元構造を有する光デバイスの作製に用いられる.デバイスの作製には,膨大な数の加工点を必要とするため加工の高速化は重要である.本研究では,加工の高速化を目指して,フェムト秒レーザーパルスをホログラムで任意の多数のビームに分割して並列の加工を実行するホログラフィックフェムト秒レーザー加工を開発する.ホログラムに多重化された位相フレネルレンズを用いることにより,単一パルス照射による3つの異なる深さに同時並列の加工やレンズ径の調節による回折ビーム強度の独立制御を実現した.単一パルス照射による3次元並列加工では,ガラスの表面,深さ20mm,深さ40mmに合計15点の加工を行った.CGHの回折効率は58.5%,サンプル面での加工エネルギーは8.42mJであった.ホログラムの設計では,フーリエ反復法に加えて,最適回転角度法を実行し,回折ビームの更なる均一化を実現した.得られたCGHの均一性エラーは,0.3%,回折効率は99%であった.実験による均一性エラーは13%であった.この結果は,従来の均一性エラー42%を大きく低下させた.また,生体のような曲面と凹凸,動きを有する対象に加工を行うために,フェムト秒レーザー加工システムに加工対象の位置を検出する機構を組み込み,加工位置のフィードバック制御を実現した.縦方向の位置変化は,共焦点レーザー光学系により,横方向の位置変化は,高速イメージセンサーにより検出した.加工システムは,横方向の移動は270μm/sの速度まで,光軸方向の移動は15μm/sの速度までの対象の移動に追従できる.
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