研究概要 |
フェムト秒レーザー加工は,高分解能,高精度,3次元内部加工を特徴とする.課題は,加工スループット,均一性,エネルギー利用効率の向上である.本研究の目的は,これらの課題に対し,加工対象に応じて,加工点数や加工エネルギーなど柔軟な加工パラメータを可能にするホログラフィックフェムト秒レーザー加工を提案し,実証することである.ホログラフィックフェムト秒レーザー加工とは,空間光変調素子上の計算機ホログラムにより生成した複数のビームにより高スループットな並列加工を実行手法である.本研究において,計算機ホログラムの設計法の改良によって,10並列ビームにおいて計算機内再生の均一性(最大ピーク強度に対する最初ピーク強度の割合)を99.7%まで向上できた.光学系では,空間光変調素子の特性やビーム強度分布を考慮したホログラム設計法を考案し,均一性を95%と向上した.更なる均一性向上を目指して.ホログラムの加工光学系での光学再生の結果におけるピーク強度のバラツキを補正するようにホログラムを設計する手法を開発した,その均一性の最高値は98%に達した.最大加工点数は.235個であった.さらに,生体のような曲面と凹凸,動きを有する対象に加工を行うために,フェムト秒レーザー加工システムに加工対象の位置を検出する機構を組み込み,加工位置のフィードバック制御を実現した.非点隔差を有するビームによる表面位置検出と記録メディア表面の反射照明像のパターンマッチングによる横方向の移動検出とにより,記録メディアの3次元の移動を検出する.許容誤差を5μmとすると,横方向で225μm/s,光軸方向で125μm/sの速度の移動を追跡可能である.これにより,未知の表面形状を持つ材料や,動きを有する材料への加工が可能となった.
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