研究概要 |
本研究では,近赤外光を用いたコヒーレントラマン効果によって生体物質中テラヘルツ帯振動をin vivoにとらえる,小聖・高精度の新規バイオフォトニクス計測装置を超高速光制御技術に基づいて創出し,その有効性を示すことを目的とした研究を展開した.そこでは,まず,既存の近赤外ナノ秒パルスを用いたコヒーレント反ストークスラマン分光(CARS)分光システムの装置改良を行い,有機分子や生体関連分子について1.5〜54THzにわたる超広帯域のテラヘルツ帯振動スペクトル計測と偏光解析を行い,テラヘルツ帯バイオフォトニクスにおけるデータベースを得た.また,この装置を顕微分光システムへと発展させ,癌組織の近赤外透過イメージングを行い,これまでに得られているテラヘルツ波イメージングとの比較を行った.その結果,近赤外光を用いた場合には,表面から識別できる癌部位のみならず,癌・正常部位の境界付近や癌部位中に含まれる壊死の可能性が高い箇所についてもその識別が可能であることを見出した.さらに,固体参照試料を用いて,初めてテラヘルツ帯フォノンを利用したCARSイメージングを実現した.また,ピコ秒パルス動作の半導体レーザ光,光ファイバ増幅およびファイバ中の非線形光学効果を利用して,高繰返し・高ピーク出力の波長可変近赤外パルス光源を実現し,非線形光学効果を用いたバイオイメージングを行うことにより,本光源のバイオフォトニクス計測における有効性を示した.以上の成果により,テラヘルツ帯バイオフォトニクス研究基盤形成に貢献した.
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