研究課題/領域番号 |
16360042
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | (財)高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
豊川 秀訓 財団法人高輝度光科学研究センター, ビームライン・技術部門・検出器チーム, 主幹研究員 (60344397)
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研究分担者 |
鈴木 昌世 財団法人高輝度光科学研究センター, ビームライン・技術部門・検出器チーム, 副主席研究員 (80360840)
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キーワード | 放射線検出器 / 半導体検出器 / ゲルマニウム検出器 / ピクセル検出器 |
研究概要 |
ゲルマニウム半導体素子は、優れたエネルギー分解能を有し、大体積で均一な素子の製作が可能である等の優れた特性を持つが、液体窒素温度に冷却して使用する必要がある。これは室温での禁止帯幅エネルギーが0.67eVと小さく、熱励起により伝導帯に電子正孔対がつくられる影響が大きい為である。この熱励起による暗電流は、結晶中に一様に存在し、素子体積に比例する。一方、入射放射線による真の電子正孔対は、体積には依存せずに、入射放射線の持つエネルギーに比例し、かつ数100ミクロン程度の微小領域で発生する。この事実は、数100ミクロンサイズのゲルマニウム検出器では、暗電流は著しく軽減され、近室温で動作する可能性を示唆する。 この趣旨に基づき、液体窒素温度から摂氏100度迄の温度可変機能、観察窓、電気探針を配した検査用の真空チェンバーを購入し、素子の光学的な評価、アニーリング、及びダイオード特性の評価を実施した。高純度ゲルマニウム結晶(5mm×5mm×0.5mm)を用いて、2mm×2mmの電極付き素子、及び0.75mm×0.75mmの2×2個のピクセル電極付き素子を製作した。素材としては高純度ゲルマニウム結晶の他に、システム評価の為にシリコン結晶を用いて全く同じ工程で素子を製作した。シリコン素子を用いた評価では、常温から液体窒素温度の範囲で良好なダイオード特性が観測され、検査装置の良好動作を確認した。ゲルマニウム結晶では表面電流制御の課題が残されたが、いわゆる大体積のゲルマニウム検出器に比べて暗電流が著しく軽減され、本研究の目的の検証が確認された。 平成16年度の研究の成果は、第52回応用物理学会関係連合講演会(埼玉大学)に於いて、「微笑ゲルマニウム結晶のダイオード特性」という表題で口頭発表を行った。
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