研究課題
1)交流六極電磁石交流六極電磁石(以下AC6極)の構成部品を昨年度に制作したが、これを組み立ててAC6極を完成させた。AC6極の電気特性を測定し、計算通りにインダクタンス10uHが得られた。抵抗成分も5kHzで20mΩが観測されたがこれはAC6極のコイルに交流磁場が引き起こす渦電流損失と考えられる。2)交流六極電磁石電源AC6極のための電源として、AC6極のインダクタンスと、別途に用意するキャパシタンスとで並列共振させる回路を製作した。この回路は昨年度購入の増幅器により駆動される。共振回路は複数個のキャパシタンスを組み合わせることにより、4〜6kHzの間の周波数の任意の値でAC6極を駆動できるものとした。3)交流六極電磁石通電試験完成した共振回路をAC6極に接続し通電試験を行った。200Appでは連続運転が可能であるが、最大定格とした300Appではコイルの発熱が大きく、磁石が高温となるので、短時間の運転にとどめる必要があることが判明した。発熱の原因であるコイルの渦電流を抑えるため、短冊状に分割したコイルを製作した。4)磁場測定AC6極の磁場分布をループコイルにより測定し、計算通りの値が得られた。5)NewSUBARUでの実験AC6極は設計通りの定格を満たすことができたので、これをNewSUBARUリングに設置し、昨年度に開発された電子光学系を用いてビームによる実験を行った。横方向振動の減衰時間測定では、計算の通り、200Appで水平、垂直とも約1ms程度が得られ、 AC6極なしの場合に比べて一桁強い減衰が得られた。加速空洞の高次モードを用いてマルチバンチ不安定性を引き起こした状態でAC6極を通電し、この不安定性が抑制されることを確認した。さらに単バンチの運転を行い、モード結合不安定性を抑制することを確認した。これにより、本手法の原理の有効性が世界で初めて実験にて確認された。
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Proceedings of the 2nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan
ページ: 22B08
ページ: 21P054