| 研究概要 |
本研究では,最終的に地振動を受ける経年劣化配管の動的挙動および破損形態を解析手法および実験的手法を用いて明らかにし,複数経年劣化構造を有する配管システムの耐震性を合理的に評価する手法を確立することを目的としている.本年度は,主に劣化機構のメカニズム解明および解析手法の確立を目標として以下の成果を得た.
1.疲労き裂,減肉等劣化構造を有する配管の破壊形態,負荷限界,発生条件について解析ソフトウェアABAQUSを用いて弾塑性解析を行った.塑性変形による劣化を損傷力学に基づく低サイクル疲労評価により評価することで,地震に対する裕度を予測した.また,各種任意形状のき裂を効率よく解析することが可能であるき裂進展評価システム(SCAN)を用いて,疲労き裂進展挙動を明らかにすると共に余寿命評価を行った.得られた解析結果と,要素試験の結果を比較することにより,劣化機構のメカニズムを体系的に整理した.
2.申請者らにより開発された応答局面法に基づく統計的設計支援システムを用いて,配管系の動的応答に対する経年劣化部の局所的な塑性変形の影響を近似的に評価できる推定式の作成を試みた.動的解析と静的非弾性挙動を切り分けて応答局面法で評価することによりある程度近似的な評価が可能であることを確認した.
3.劣化部配管の簡易モデルを用いて,配管系の弾塑性応答予測法の確立を行った.塑性変形を考慮した要素を用いた配管系のモード解析と振動応答解析により,配管系の有効質量,固有振動数,減衰比と地震応答との関係を明らかにした.また,解析した結果と要素試験結果は定性的に挙動が一致しており,基礎的な解析手法を確立することができた.
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