1.レーザ割断実験において、レーザ照射方向を変えるときにき裂進展経路がレーザ照射行路からずれた。ずれはじめる位置はレーザ照射方向に関わらず同じであったことから、照射方向が変わると同時に、き裂進展経路がずれることがわかった。 2.FEM解析および最大接線方向応力説を用いてき裂進展経路を推定した。その結果、レーザ割断実験で得られたき裂進展経路と一致した。 3.レーザ照射位置を修正することで、き裂を任意の方向に進展させられることがFEM解析からわかった。しかし、レーザ照射方位とき裂進展方向は一致せずつねに異なることから、レーザ照射位置に大幅な修正を要することとなり、複雑形状割断のためのレーザ照射行路の予測は極めて困難となる。 4.き裂進展挙動の制御にツインビームの利用を検討した結果、レーザの進行方向に対して縦一列に配置し、き裂先端の前後で、ツインビームの強度比と後方のビームの照射位置を変える場合に、き裂を任意方向に進展させることができることを、FEM解析により明らかにした。この結果から、き裂進展挙動の制御の可能が認められ、ツインビームの有効性を示した。 5.既存のレーザ装置に大幅な改造を施すことなくツインビーム化を図る手段として、プリズムを使用したツインビーム光学系ホルダを製作した。加工中にプリズムの位置を調整できる機構をさらに組み込み、本研究でFEM解析により検討した照射方法を適用すれば、ぜい性材の任意形状割断の実現に大きく近づくことができる。 6.スタータき裂のない試験片を用いて、き裂発生挙動について検討した。FEM解析の結果より、デフォーカス距離が小さいときは、き裂発生が早期に生じると推測される。 7.スタータき裂のない試験片の場合、FEM解析の結果より、デフォーカス距離が小さいときは、引張応力分布が急峻となった。この場合、実験ではき裂進展が不安定となっていた。
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