研究概要 |
当該年度はまず,被処理材の表面改質特性に及ぼす研削液の影響について調査した.研削液は加工中ワークと直接接触することになるため,被加工物の表面性状には大きな影響を与えることが期待される.溶液は電解質である必要があるが,その条件を満たしていれば,さまざまな工夫を加えることができる.本年度は被加工表面の生体適合性の向上を目的として,防腐剤やpHなどを変化させた研削液により表面研削を施したチタン合金について細胞毒性試験をおこなった.その結果,pHを変化させることにより,細胞毒性が優位に低下することが明らかになった. 次に,被処理材の表面改質特性に及ぼすワーク温度の影響について調べた.具体的には試験片を高温もしくは低温に保持した状態で加工を行いその影響を調べた.その結果,約0℃の温度に試験片を保持したまま研削をほどこすことにより,常温では困難とされているチタン合金の研削が効率的に行われることが明らかとなった.ただし,この場合には,常温で研削したときに認めら得るような砥粒成分の拡散は認められず,表面改質効果という観点からは必ずしも充分とはいえないことなどを明らかにした. また,研削に用いる砥石のボンド材にCrを含有させた砥石を準備し,ボンド材成分がステンレス鋼の研削特性に及ぼす影響についても検討を行った.現時点では詳細は明らかでないが,従来とはことなるインプロセスドレッシング特性が存在する可能性を見出した.
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