研究概要 |
本年度はまず,以下の3項目をまず実施した. 1 被処理部材の腐食・磨耗特性の評価:実際に体内で生体材料が使用される場合には,単に腐食のみが作用するばかりでなく腐食と磨耗の両者が同時に作用する.したがってそのような過酷な環境下における特性にも優れている必要がある.そこでまず摩擦・磨耗特性の評価を行った.つづいて申請者が開発したトライボコロージョンシステムにより腐食と磨耗とが同時に作用する場合の劣化挙動について評価した 2 被処理部材の細胞毒性の評価:生体内に人工物を埋入する場合,その材料が生体に対して毒性を持たないということが非常に重要な因子となる.そこで本研究では骨芽細胞とマクロファージの培養を滅菌した表面改質試験片上で行い,細胞増殖率の変化を調べた.これにより,細胞に対する毒性の有無を知ることができる.また,同様な環境下で細胞の発生する信号であるサイトカインの測定を行うことにより,試料の細胞毒性を評価した. 3 実験動物を利用した生体適合性評価:人工物の生体適合性を評価するためには前述の細胞毒性の評価に加えラットなどの実験動物を利用して安全性を評価する必要がある.ここでは 2 つの面から検討を行う.まず一方は,人工物が生体に及ぼす影響についての検討である.これに関して,表面改質処理を施した試料をラットに埋入しその周辺の骨組織などの標本調査を行うことにより調ペた.もう一方は,生体が人工物に及ぼす影響である.これに関しては一定期間埋入した試験片の破壊靭性試験を行うことにより評価した. また,最後に研究成果に対する総合的検討を加え,学術的観点から表面改質機能発現メカニズムを明確にした.なお,これらの成果に関しては,現在,原著論文として執筆中である.
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