研究概要 |
本年度は,MEMSおよびNEMSデバイスの最適設計に必要である,ナノスケール材料の電気・機械特性評価を目的として,静電駆動型ナノスケール単軸引張試験機(EANAT : Electrostatic Actuated NAno Tensile testing device)を開発した.EANATとは,試験片であるナノワイヤ,ナノワイヤに引張負荷を加えるためのアクチュエータ,そしてナノワイヤの微小変位を計測するための測定カンチレバーが一体となったシリコン・マイクロシステムである.これにより,従来からの微小引張試験における問題点であった試験片取り付け時のミスアライメントが解決され,高精度に微小単軸引張試験が実施可能となる. 本年度におけるEANATのナノ試験片として,FIB-CVD(Focus ion beam-chemical vapor deposition)法により作製される直径100nm以下のカーボンナノワイヤを採用した.今後,単結晶シリコンナノワイヤや各種金属薄膜試験片を用いることを予定している.また,アクチュエータは静電櫛歯型を採用し,ICP(Inductively couple plasma)装置を使ったDeep RIE(Reactive ion etching)により,シリコンマイクロアクチュエータアレイを試作した.ここでは,各種試験片寸法に対応するために,櫛歯数の異なる三種類のEANATを作製している. 本年度行った,EANATの動作試験において,測定カンチレバーの変位をCCDカメラにより取得し,画像解析することで,sub-nmオーダーの変位分解能,およびnNオーダーの荷重分解能を得ることが可能となった.また,ナノ試験片取り付け部に,金属薄膜を選択的に成膜することに成功し,同試験片の電気抵抗計測が可能となった。次年度においては,カーボンナノワイヤのピエゾ抵抗係数を実験的に解明する予定である.
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