研究課題/領域番号 |
16360059
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
駒井 謙治郎 福井工業高等専門学校, 校長 (70025948)
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研究分担者 |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
加藤 寛敬 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (30311020)
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キーワード | フェムト秒レーザー / アブレーション / 硬質薄膜 / DLC / ナノ構造 / 走査型プローブ顕微鏡 / トライボロジー特性 |
研究概要 |
今年度は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)に組み込まれたトライボテスターにラテラルフォースモジュールを付加し、超微小荷重下での微小領域スクラッチ試験を実施し、ナノトライボロジー特性の先端的評価を開始した。すなわち、ダイヤモンド圧子を試料に接触させ、所定の荷重(30mN以下)を加えた状態で水平移動(5μm以下)させ、得られる水平方向の荷重のデータを取り込むことで摩擦係数の変動を解析する。なお、スクラッチ試験の前後に試料表面を原子間力顕微鏡(AFM)モードで観察し、摩擦摩耗の状態を確認する。 次に、精密試料ステージを用いてフェムト秒レーザーをDLCやTiNの硬質薄膜表面に平面状に照射し、照射条件(レーザーの強度、パルス数、スポット径など)を変化させて、周期的微細構造(ナノ構造)を約15mm角で均一に加工する技術を開発した。同一場所にビームが約100パルス照射され、レーザー走査によるうねりが少なくなるようにステージ速度や送り量を調整した。 100〜200mWのレーザー強度でナノ構造が加工されたDLC薄膜の摩擦係数を、トライボテスターを用いて測定した。100〜1000μNの荷重でダイヤモンドチップ(先端半径1μm)を用いて測定したところ、未照射面でμ=0.1を示す摩擦係数が、レーザー照射により0.2〜0.3に増加することが判明した。また、スクラッチ時のチップの侵入深さが、レーザー強度や荷重が増えるに従い増加した。レーザー照射による硬度の低下や表面に形成されたナノ構造の凹凸の影響により摩擦係数が増加したと考えられる。なお、摩擦係数が荷重に依存して増加しており、薄膜内にめり込んだチップ側面の影響に注意する必要性がある。また、横偏光で形成される細長い粒状のナノ構造に平行にスクラッチした方が、直交して行う場合より約2割摩擦係数が低下することも明らかになった。
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