研究概要 |
<ナノ構造の大面積加工技術の開発> 1)レーザーの直線状の走査を、照射スポット径の半分ずつ平行にずらしながら繰り返すことにより、15×15mm^2の面積で平面状に均一なナノ構造を形成する技術を開発した。DLC薄膜に関しては、同条件で表面層が均一なGC(ガラス状炭素)に改質される。さらに、一定間隔空けながら直交させて行う網目状照射の技術を開発した。 <ナノ加工されたDLC薄膜のトライボロジー特性(I)実荷重領域> 2)平面状照射によりナノ構造が形成されたDLC薄膜の摩擦係数は、相手材が軸受鋼の時は減少する傾向を示し、超硬ボールの時は変化が少ない。 3)平面状照射でナノ構造を形成されたDLC薄膜上にMoS_2薄膜を被覆することにより、DLC薄膜の摩擦係数が大幅に低下した。WC-Coボールに対しては0.02〜0.04の極めて低い摩擦係数を示す。 4)網目状照射によりナノ構造を形成したDLC薄膜は,表面の起伏がほとんど変化しない状態で照射領域の摩擦係数が大幅に増加する. 5)これらの成果は、自動車産業等の実荷重領域において、ナノ加工技術により摩擦係数が広範囲に制御でき、さらに局部的に摩擦係数の異なる領域を作製することが可能であることを示している。 <ナノ加工されたDLC薄膜のトライボロジー特性(II)微小荷重領域> 6)ナノ加工後のDLC薄膜の微小荷重領域(100〜2000μN)での摩擦係数は、レーザーの照射強度と共に増加する傾向を示すが、レーザー照射により照射部表面が軟化し測定用ダイヤモンドチップ(先端半径1μm)がめり込むことによるチップ側面の影響を考慮する必要があることなどの課題が判明した。
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