研究概要 |
半導体の集積密度が高くなるにつれて,Siウエハを100μm以下の厚さまで加工する技術が求められている.従来のポリッシングと異なり,研究代表者らが機械加工に化学作用を積極的に取り入れた複合式研削CMG(Chemo-Mechanical-Grinding)用砥石及び固定砥粒による無欠陥表面創成プロセスを世界に先駆けて提案・開発してきた.化学反応により物質表層の障壁エネルギを低くし原子(格子)の配列を乱すことなく材料を除去加工ができる.この技術をSiウエハに適用して,最終厚さを100μm以下にする薄片化技術を開発する. 本年度では,CMGプロセスの加工メカニズムを解明すると共に,極限までウエハを薄片化するプロセスの最適化に重点をおいて研究開発を行なった.得られた結果を次のように要約できる. 1.CMG加工では,まず熱化学反応で生成されたSiO_2と砥粒CeO_2が固相反応して,セリウムのイオン価がCe(IV)/Ce^<4+>からCe(III)/Ce^<3+>に遷移する.その過程において軟い非晶質複合物(Ce-O-Si)が形成され,この軟質複合物が後続するCeO_2砥粒により機械的に除去されて,加工が進行するCMGのメカニズムを解明した. 2.ウエハの臨界厚さが加工による加工変質層に在留する応力によって支配されていることを解明した.使用すると石および加工条件と残留応力との関係を実験により求めた.またウエハの反り(warpage)から,残留応力の大きさ及び加工変質層の深さを算出できる方法を提案し,現場でも簡単に現行プロセスが到達できるウエハの臨界厚さを推定できるようになった. 3.前加工に使用するダイヤモンド砥石のために,残留応力の小さいビトリファイドボンド砥石を新たに開発した.CMGと併用した結果,8"のウエハを30μmの薄さまでの加工に成功した. 4.さらに,CMGをパターンウエハの平坦化にも応用し,固定砥粒による定寸加工制御加工を試み,その優位性を確認した.
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