研究概要 |
本研究では,摩擦力顕微鏡機構の表面観察機能をベースに加工用工具の交換機能,位置決め制御機能やNC機能など加工機としての機能の付加・拡充を図るとともに,1〜10nm単位での機械加工とナノスケール計測を同一機上で安定して実現し,様々な動作環境や設置場所に対応可能な,「超小型3次元ナノ加工・計測システム」の研究開発を行った. ピエゾアクチュエータと静電容量式微小変位センサを3軸に直交配置した超小型3軸位置決めステージを新規開発し,これに加工用・観測用探針の交換機構,接触力検出用光学系を複合・搭載することで,探針先端を3次元的に位置決め制御する新ユニットを構築した.さらに工学系の小型化・軽量化について検討し,ヘッドのサイズが156×168×88mmの小型の加工・測定ヘッドの開発を実現した. ナノスケールの機械加工と計測を高精度で行うため,カンチレバーの交換機構を開発した.本機構では,加工用・測定用カンチレバーを回転軸を中心に90°回転させた位置にそれぞれ配置し,回転機構を用いることにより,マニュアルで交換することができる.これによって,ナノ加工・計測の安定化・高精度化を実現した. 単結晶シリコンの異方性エッチングとCVD成膜技術を応用して,加工専用カンチレバーの開発を行った.また切れ刃の切断方法としてレーザ加工を適用し,高能率な切断が可能であった.さらに,開発した工具を用いて単結晶シリコンの加工実験を行った結果,加工単位数十nm単位の機械加工が可能であり,ナノスケール機械加工に有用であることがわかった.
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