研究概要 |
本研究では,摩擦力顕微鏡機構の表面観察機能をベースに加工用工具の交換機能,位置決め制御機能やNC機能など加工機としての機能の付加・拡充を図るとともに,1〜10nm単位での機械加工とナノスケール計測を同一機上で安定して実現し,様々な動作環境や設置場所に対応可能な,「超小型3次元ナノ加工・計測システム」の研究開発を行った. 前年度開発したシステムを用いて加工実験を行い,その加工特性について検討した.その結果,単結晶シリコンやニッケルなどに対して,切込み数十〜百nmのナノスケール機械加工が可能であることがわかった.また開発した超小型3軸位置決めステージを用いクローズドループ制御を行うことで,工具の高精度な位置決めおよび加工を実現した.さらに加工用・測定用カンチレバーの交換機構を用いることで,同一機上でのナノ加工および測定を行うことが可能であった. 前年度開発した加工用カンチレバーを用いて,単結晶シリコンや金属ガラスなどの各種材料に対して加工実験を行った.その結果,従来開発したダイヤモンド砥粒単粒を切れ刃としたカンチレバーと比較して十倍以上の切込み量での加工が実現し,優れた加工特性を示すことがわかった.また単結晶シリコンを加工した場合,加工距離1700mm以上でも切込み百nm以上の加工が可能であり,優れた耐摩耗性を有することがわかった.
|