研究課題
シンクロトロン放射光や次世代半導体製造技術であるEUV(Extreme Ultraviolet)用リソグラフィーに使用される高精度X線ミラーには、PV値で1nmレベルでの形状精度が要求される。そのためミラー製作には、超精密加工技術と超精密形状計測技術の進展が不可欠である。現在の形状計測技術は、平面や球面を基準とした干渉計測が主流である。しかし、一般に干渉計を用いた測定では、測定できるミラーの口径が限られていたり、非球面ミラーの測定は困難である。そこで本研究では、基準面を用いず、平面や凸面を含む非球面ミラーのスロープエラーを1×10^<-7>radオーダで測定するための超精密非球面形状測定装置を試作した。試作した装置を用いて、硬X線集光特性^<[2]>から形状精度がPV4nm以下で保障された非球面ミラーの測定を行い、スティッチング干渉計と比較した結果について説明する。本研究における表面形状測定の原理は次の通りである。レーザーの直進性を利用して、ミラーの任意測定点での入反射光を一致させることで、その点での法線ベクトルを測定する。この時に並進運動より精度の良い回転運動を用いることで、広範囲にわたって高精度での計測が可能である。また、測定した法線ベクトルを補間・積分することによって、形状を算出する。これまでにφ30mmSiC平面ミラーの測定を行い、干渉計と比較した結果±2nm以下で一致した実績をもっているため、今回、硬X線集光特性よりPV4nm以下での形状精度が保障されているX線集光用楕円ミラーの測定を行った。ミラーの大きさは100mm×50mm(横×縦)で、PCVMとEEMにより、表面粗さが1nm(P-V)程度で加工されている。大阪大学で独自に開発された、スティッチング干渉計^<[3]>を用いて形状計測を用いて行い、最終形状を創成している。スティッチング干渉計の形状と本測装置の形状は、±2nm以下、RMS1.5nmの一致度を達成していることがわかる。これにより、本測定装置を用いて非球面形状をPV4nm以下の精度で測定できることがわかった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Proc of SPIE : Advances in Mirror Technology for X-ray, EUV Lithography, laser, and Other Applications, 3 August 2005, Sandiego, CA, USA Vol.# 5921(In printing)
Proc.Of the 8^<th> International Conference on X-ray Microscopy ; 26-30, July, at Egret Himeji 2006.6月発行(In printing)