研究概要 |
山中が考案した円すいディスクと両端にローラがついたシャフトを用いてトラクションドライブにより,無段変速を行う機構(シャフトドライブCVT)の研究を行っている.目標とした5項目についての16年度の進展状況は以下の通りである.〔1.スピン低減ディスクの開発〕スピン発生量を1/5に低減したディスクを設計し,速度伝達効率改善に有効であることを実験により確認した.〔2.変速機構の実現〕従来考えていた機構を大幅に見直し,新たな機構を考案した.一つのモータで駆動し,変速動作に必要な動力を低減する方法を見出した,これは従来のベルトCVTに比べて大きな特徴になると考えている.これらを実証するための試験機の設計を完了し,製作準備を行っている.また変速性能の評価方法を決定し,シミュレーションによる事前評価を行っている.〔3.伝達容量増大〕中間ローラの反対側からディスクを押付けるバックアップローラ機構の理論解析と実験による効果の確認を行った.増速状態の試験結果では最大効率94%を得た.従来の80%程度から飛躍的な向上であり,目標を達成した.〔4.改良型CVTの設計と評価〕(17年度以降の実施予定)〔5.疲労強度〕曲げ強度用に提案した疲労強度シミュレーション法をピッチングを対象とした面圧強度の場合に適用する方法を検討した.単純に係数を乗じて主応力をせん断応力に変換し,他の研究成果のデータを用いて検証をしたところ,良好な結果を得た.今後はこのシミュレーションの改良とローラを使った疲労試験の準備を行う.
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