研究概要 |
山中が考案した円すいディスクと両端にローラがついたシャフトを用いてトラクションドライブにより,無段変速を行う機構(シャフトドライブCVT)の研究を行った.目標とした5項目についての18年度の進展状況は以下の通りである.〔1.スピン低減ディスクの開発〕17年度に考案した,さらにスピン発生量を低減したディスク(ゼロスピンディスクと称する)の効果を実験により確認した.スピンの発生がないため,ほとんどすべりが発生しないことを確認した.(目標達成)〔2.変速機構の実現〕製作した試験機の変速動作中のアクチュエータの消費動力を測定し,設計通りに小さいことを確認した.変速時間の短縮に取り組み,モータの交換と細部の改良により最大減速→増速まで1sで変速できるようになった.伝達トルク容量が小さいので,バックアップローラを付加する改造設計を行っている.〔3.伝達容量増大〕16年度に目標達成済.〔4.改良型CVTの設計と評価〕ゼロスピンディスクに加えて,新たにカウンターシャフト機構を考案した.これにより動力伝達経路が増えて,さらに伝達容量が増大することを期待している.これらを搭載した試験機を製作し,伝達トルク90Nmを達成した.300Nmを達成できる目処はついているので,現在細部の改良中である.〔5.疲労強度〕疲労強度シミュレーション法の改良を行っている.またローラ疲労試験機の設計を行い,製作中ある.この他にも,与えられた仕様を満たし,最もディスクとローラの重量が軽くなるように最適設計を行う手法を開発した.今年度は研究最終年であり,国際会議で2件の発表を行い,4編の原著論文が採択された.
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