研究概要 |
本研究では,工期の短縮,生産性の向上に直結する重要な性能である直動メカニズムの加速度・速度性能を大きく向上させた直動サーボ機構の実現とともに,汎用性が高く,不確かな系や非線形系に対しても比較的容易に適用可能,最も基礎的な制御理論に関する知識のみで設計できる,機能が単純といった実用上重要なPID制御の特長を有し,かつ高速性も考慮した,より高性能なモーションコントロールのための実用的な制御方法を明かにすることを目的として,以下のことを行った. (1)駆動回路系を変更し,電磁石固定部への入力電流特性を改善した.その効果を2種類の可動部を用いて検証した.その結果,電磁石固定部へ入力可能な電流振幅が増加し,最大加速度は,816m/s^2(=83.2G)まで向上した. (2)推力の向上を目的に,より高性能な永久磁石を組み込み,その性能を実験により評価した.その結果,平均静推力は約2%向上し,最大加速度は835m/s^2(=85.1G)まで向上した.しかし最大速度は11.3m/sに留まり,効果は見られなかった. (3)推力密度(=推力/可動部質量)の向上を目的に,CFRP利用の効果を理論的に検討した.その結果,高剛性で軽量な可動部が実現できる可能性があることが明らかになった. (4)駆動方法を改良し,その効果について考察した.その結果即応性の向上とエネルギー効率の向上が図れることがわかった. (5)研究者が提案しているNCTF制御を改良し,より高いロバスト性を示すコントローラ構造を提案した.その結果,条件付の制限積分を利用することで,簡単な外乱オブザーバ利用PDコントローラよりも,慣性増加に対するロバスト性を高くできることを数値計算により明らかにした.
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