研究概要 |
まず、研究代表者が提案した前処理型流束分離スキームを、研究代表者がすでに構築している均一・不均一核生成を伴う非平衡凝縮の計算コードに組み込んだ。前処理型流束分離スキームの基礎をなす前処理法は、局所マッハ数がゼロに近づく際に圧縮性ナビエ・ストークス方程式を非圧縮性ナビエ・ストークス方程式に自動的に変換する優れた方法である。ただし既存の前処理法アルゴリズムは煩雑であり計算コードの構築に多くの時間を要する。研究代表者が提案した前処理型流束分離スキームはこの難点を解決したものであり、既存の圧縮性流れの計算コードに容易に組み込むことができるところが特徴である。本研究の成果は、Int.J.Heat and Transfer, Vol.47,2004に掲載され、また、J.Comp.Phys,2005に掲載される予定である。次に、熱物性のみならず超臨界流体の圧縮性を正確に評価し、音速などの流体物性値をより正確に近似するため、van der Waals分子間力を考慮した三次方程式型状態方程式であるPeng-Robinson状態方程式を、上気計算コードに組み込んだ。これを用いて、特に、臨界点近傍条件を付した超臨界二酸化炭素の熱流体を数値計算したところ、常温・常圧状態の熱流体では見られない、熱物性値の特異性を計算により捕獲することに成功した。なかでも、臨界点近傍条件を付した超低速な熱流体は、密度場が大きく変動する圧縮性流れであることが示された。本研究の成果は、Int.Conf.on CFD-Tronto,2004,ならびにECCOMAS-Jyvaskylaで発表し、JSME Int.Journalに投稿中である。
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