まず、研究代表者が提案した前処理型流束分離スキームを、研究代表者がすでに構築している均一・不均一核生成を伴う非平衡凝縮の計算コードに組み込んだ。 次に、熱物性のみならず超臨界流体の圧縮性を正確に評価し、音速などの流体物性値をより正確に近似するため、van der Waals分子間力を考慮した三次方程式型状態方程式であるPeng-Robinson状態方程式を、上記計算コードに組み込んだ。これを用いて、特に、臨界点近傍条件を付した超臨界二酸化炭素の熱流体を数値計算したところ、常温・常圧状態の熱流体では見られない熱物性値の特異性を計算により捕獲することに成功した。なかでも、臨界点近傍条件を付した超低速な熱流体は、密度場が大きく変動する圧縮性流れであることが示された。 さらに、熱物性データベースである、PROPATHを導入することにより、より広範囲の超臨界流体が数値計算できることがわかり、本データベースを上記数値解法に完全にリンクさせて計算することができる計算コードを新たに構築した。本コードの最大の特徴は、データベースの物性を簡単に入れ替えることができる点にあり、結果的に、二酸化炭素のみならず、水やその他の物質についても計算が可能になった。 最終的に、PROPATHに定義されている各物質には、超臨界状態のみならず、常温・常圧や、極低温における熱物性も定義されていることから、極めて広範囲の温度・圧力条件における様々な物質の流動を、本数値解法が数値計算できる可能性が示された。これらの研究成果は、権威ある3つのJournal、ならびに複数の国際会議で発表された。
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