本研究は超音波によって均一に気泡が生成するメカニズムを明らかにし、どういった条件で均一な気泡が生成できるかを検討することが目的である。極微細気泡生成メカニズムの解明においては、超音波照射によって気液界面に生じる表面張力波が分裂することにより極微細気泡が生成している可能性が高いことから、平成17年度では、平成16年度に引き続き、表面張力波形状の時間変化や波長との関係について詳細に測定した。実験では、アクリル試験槽内に超音波振動子および針形状を持つマイクロシリンジを導入し、アクリル槽内に導入した試験液体中で超音波を発生させ、定在波を作った。マイクロシリンジからマイクロシリンジポンプを用い、流量計で流量を調整しながら液体に導入された微量ガスに超音波を付与し、均一極微細気泡を生成した。その結果、気泡生成には粘性の影響が大きいことがわかった。また、発生させる均一気泡の大きさをシリンジ内部の圧力を変化させることにより、制御できることがわかった。このときの気泡径変化の傾きは、粘度、表面張力、針内径、針外径の関数によってあらわすことができることがわかった。一方、気泡分裂現象は撮影した画像より軸対称に近い流れとなっていることから、分裂現象を数値的に解析することを試みた。この分裂過程の基礎的現象である表面波の振動状態について境界要素法を用いて解析し、ワークステーション上で計算を行った。その結果、気泡分裂過程がポテンシャル流れを仮定することで表現できることがわかった。粘度や気泡内圧力を変化させることで、実験結果と同様の傾向を示すことがわかった。
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