研究課題/領域番号 |
16360099
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
庄司 正弘 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 連携研究体長 (00011130)
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研究分担者 |
井上 満 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30010854)
竹村 文男 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20313041)
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キーワード | サブクール沸騰 / 気泡微細化沸騰 / マイクロチャネル / 高性能冷却デバイス / マイクロバブル / 非線形表面張力水溶液 |
研究概要 |
小型で高効率、高性能な冷却デバイス開発を目指し、気泡微細化沸騰の未解決の諸問題について基礎的研究を行なうことを目的に,平成17年度は前年度の成果を推し進め、プール沸騰に関する基礎実験を行うと共に、ミニチャネルにおける流動沸騰、蒸発伝熱で性能実験を行った。すなわち、基礎実験として「加熱細線を用いたプール沸騰実験」を行い、サブクール度による限界熱流束が10MW/m2にも及ぶこと、限界熱流束の現れ方に核沸騰から膜沸騰への遷移型とバーンアウト型の2つがあること。前者は低サブクールで、後者は高サブクールで発生することを明らかにし、それら限界熱流束の細線在質および熱容量による違いを調べ、その結果バーンアウト型は細線熱容量に依存することがわかり、関連パラメタでよく整理できることを示した。一方、マイクロチャネルの実験では円形断面と同時に矩形断面の実験を行い、流動様相と伝熱特性について調べたが、矩形断面の場合、コーナーの存在がメニスカスを構成し、熱伝達が向上することを明らかにした。また、温度による表面張力の変化が通常と逆になるブタノール水溶液を用いてマイクロチャネルの流動沸騰実験、蒸発実験を行い、特にドライアウトの発生の仕方と伝熱特性に注目したが、サーモチャピラリ力の作用方向の逆転移よってドライアウト点が延長し、その結果として純水の場合に比較して高い伝熱特性が得られることを見出した。同時に行った純水の高熱流束沸騰実験では、前年度と同様、約7MW/m2を越える熱流束下でもある一定のチャネル長さにおいては圧力損失は水単相の場合と大差ない状態が実現できることを確認した。この結果、気泡微細化沸騰とマイクロチャネル構造体を用いて高性能で高効率な冷却デバイスを実現できる可能性があるとの結論を得たが、気泡の微細化現象についてさらに詳細な研究を行うため、単一1次気泡を発生させ、その微細化を高速度観察すると同時に、壁面温度の時間変動、流体運動を観察できる実験装置を製作し、研究を進めようとしている。
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