研究概要 |
小型で高効率、高性能な冷却デバイス開発を目指し、について基礎的研究を行なうことを目的に,初年度の平成16年度は気泡微細化沸騰の未解決の諸問題に関し加熱細線を用いたプール沸騰実験を行い、サブクール度による限界熱流束の変化を調べ、その上限が数MW/m^2にも及びこと、微細気泡の大きさに概ね数十ミクロンであり、サブクールの増加と共に小さくなって高サブクール度では10ミクロン程度になること、高速ビデオ観察により,微細気泡の発生メカニズムは気泡の界面の不安定化、気泡部分の一部離脱から生じることなどを明らかにした。また基礎実験2として矩形流路内の強制流動サブクール沸騰の実験を行ったが、矩形ミニチャネルの1面を加熱面とし他の3面を断熱状態に保ち、サブクールは一定に,チャネル高さを200μmから1mmまで変化させて、熱流束および流れの圧力低下を測定した。その結果、平均熱流束が最高で約7MW/m^2を得、またチャネル長さが適当長であるときは、圧力損失は水単相の場合と大差ない状態が実現できることを見出した。次年度の平成17年度は16年度の成果を推し進め、プール沸騰に関する基礎実験を継続すると共に、ミニチャネルにおける流動沸騰、蒸発伝熱で性能実験を行った。すなわち、加熱細線を用いたプール沸騰実験では限界熱流束の現れ方に核沸騰から膜沸騰への遷移型とバーンアウト型の2つがあること、バーンアウト型は細線熱容量に依存することがわかり判明した。一方、マイクロチャネルの実験では円形断面と同時に矩形断面の実験を行い、流動様相と伝熱特性について調べたが、矩形断面の場合、コーナーの存在がメニスカスを構成し、熱伝達が向上することを明らかにした。また、温度による表面張力の変化が通常と逆になるブタノール水溶液を用いてマイクロチャネルの流動沸騰実験、蒸発実験を行い、サーモチャピラリカの作用方向の逆転移よってドライアウト点が延長し、その結果として純水の場合に比較して高い伝熱特性が得られることを見出した。こうした研究の結果、気泡微細化沸騰とマイクロチャネル構造体を用いて高性能で高効率な冷却デバイスを実規できる可能性があるとの結論を得た。
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