本研究では実用燃料の詳細素反応モデルを世界に先駆けて構築することを目指す。このために必要な、さまざまなアルカン燃料についての詳細燃焼反応機構を構築した。 広範な温度・圧力においてアルカン燃料の着火誘導時間を測定し、シュミレーション結果と比較して構築した反応モデルの妥当性を検証した。 まずノルマルおよびイソブタンの燃焼反応機構を構築した。この反応機構はC4以下のすべてのアルカンの燃焼に対して適用できる。さらにガソリンエンジンの標準燃料であるイソオクタンとノルマルブタン混合気体に対する燃焼反応機構を、三好により開発されたKUCRSプログラムパッケージを用いて構築した。このメカニズムも衝撃波管による着火誘導期の測定値と比較してその正当性を確認した。さらに独自にトルエンの燃焼反応機構を構築した。これにより、ガソリンのサロゲート燃料のシュミレーションが可能となる。ガソリンのサロゲートの精度を上げるために、キシレンについても検討した。キシレンは三つの異性体を有するが、これらの異性体を区別して反応機構を構築した。 実用燃料では、ガソリンにアルコールやエーテルなどの含酸素化合物を添加することが検討されている。これらの含酸素燃料の着火特性を明らかにすることを目的として、エタノール、ETBE(エチルターシャブチルエーテル)の反応機構を構築し、ガソリンサロゲート燃料にエタノール、エーテルを点火したときの着火遅れ時間の変化を計算により予測した。 トルエン、キシレン、アルコール、ETBEすべてについて衝撃波管により着火誘導時間を測定し、上記反応機構と比較してその妥当性を検討した。
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