研究概要 |
大学院・共生科学技術研究部 CPUの発熱密度は増加の一途をたどっており,このままのペースで進むと2015年頃には太陽表面並み(〜10^7W/m^2)になるといわれている.そこで従来にない新しい原理に基づく超高性能ヒートシンクの開発が必須である.本研究は,空冷で10^6W/m^2程度の熱流束を処理可能なヒートシンクの実現を目ざし,フィン内部に沸騰による流体駆動機構を有する熱輸送システムを提案し,吸熱,熱輸送,放熱の各過程に生ずる物理現象を把握・解明することにより,その実現可能性を明らかにすることを目的とする. 伝熱実験では加熱・冷却部ヘッダ間をパイプで接続した銅製テストセクションを用いた.作動流体はR-134aである.パイプ内直径は0.51〜2mm,長さ100mmである.ヘッダ間温度差,ヘッダ径(1mm,6mm),パイプ本数(3,6,12)を変化させた.ヘッダ間温度差の増加に伴い実効熱伝導率は初め上昇し,やがてピークに達しその後下降した.この実効熱伝導率のピークは管径が小さい程大きく,銅に比べ,最大200倍程度(管径0.51mm)となった.細管本数が多いほど熱輸送量は大きくなるが,熱輸送量は本数に比例はしなかった.また,本研究で提案する並列細管型熱輸送デバイスは,従来型の蛇行閉ループ型熱輸送デバイスに比べ,数倍から十数倍高い実効熱伝導率を示した. 流れの可視化実験では,ガラス製テストセクション(内直径2.4mm,4.4mm,細管本数1〜6本)を用い,高速度ビデオで撮影を行った.作動流体は水またはエタノールである.ヘッダ間温度差が増加するに従って気泡移動速度は増加した.単管(細管1本)では,気相が加熱側ヘッダから冷却側ヘッダへと連続的に流入する一方向流であった.一方,細管本数が2〜6本では,テストコア内を気相と液相が上昇・下降する内部流動があり,潜熱・顕熱輸送の両方を行うことがわかった.
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