研究概要 |
CPUの発熱密度は増加の一途をたどっている.そこで従来にない新しい原理に基づく超高性能ヒートシンクの開発が必須である.本研究は,空冷で10^6W/m^2程度の熱流束を処理可能なヒートシンクの実現を目ざし,フィン内部に沸騰による流体駆動機構を有する熱輸送システムを提案し,吸熱,熱輸送,放熱の各過程に生ずる物理現象を把握・解明することにより,その実現可能性を明らかにすることを目的とする. 伝熱実験では先ず,加熱・冷却部ヘッダ間を一列の細管で接続した銅製2次元テストセクションを用いた.作動流体はR-134a,パイプ内直径は1mm,長さ100mmである.ヘッダ間温度差,パイプ本数(2,3,6)を変化させた.細管外壁の温度計測により内部流動を調べると,上昇流を示す高温の管本数・位置は実験を繰り返すと変化し,上昇流の本数によって熱輸送量が変化することから上昇流支配の現象であることがわかった.また,内直径0.51mmの3次元テストコアでの実験も行い,実際のヒートシンク形状でも液封入により熱抵抗を最大80%減少させることができることを確認した. 流れの可視化実験では,ガラス製テストセクション(内直径1.0,2.4,4.4mm,細管本数2,6本)を用い,高速度ビデオで撮影を行った.作動流体は水またはエタノールである.細管内径1mmの場合には上部ヘッダへの液相輸送は見られず,蒸気のみが上部ヘッダに流れ込む点に細管内径の影響が見られた. 数値計算においては1次元圧縮性流体の気液二相流の解析を行った.計算にはCIP法を用い,相変化が無い場合には液プラグの移動を再現できた.相変化を含む場合には蒸発・凝縮相変化モデルとして温度回復法を用いたが,相変化界面位置の捕捉を十分な精度で行うには至らず,蒸発による液駆動を再現することは出来なかった.
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