研究課題/領域番号 |
16360103
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平井 秀一郎 東京工業大学, 炭素循環エネルギー研究センター, 教授 (10173204)
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研究分担者 |
末包 哲也 東京工業大学, 炭素循環エネルギー研究センター, 助教授 (30262314)
津島 将司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30323794)
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キーワード | 燃料電池 / プロトン / 水分輸送 / MRI計測 / 高性能化 |
研究概要 |
固体高分子形燃料電池は、出力電流密度が高いためコンパクトで、高効率でかつCO_2を排出しない運転が可能であることから、地球環境保全とエネルギー有効利用のための次世代自動車用動力源として期待されている。 供給する水素は、膜の水素極側の触媒でプロトンと電子に分離し、プロトンは固体高分子により構成された膜の中を酸素極側に移動するが、プロトンが膜内を移動するメカニズムがわかれば、プロトンに伴い水分子が膜の中を移動する現象が明らかになり、上記の水分の入力経路とあわせて電解質膜内で生じている反応を伴う物資輸送現象が統合して明らかになる。しかし、プロトンがどのような機構により電解質膜内を水素極側から酸素極側へ移動しているのか、すなわち、プロトンが単純な移流により移動しているのか、それともプロトンが電解質膜を構成する固体高分子と電子交換をしながらプロトンホッピングと呼ばれるものにより移動しているのかもわかっていない。このプロトン移動のメカニズムを、MRIに高速イメージングを付加させ、高性能化させた複合計測により明らかにすることを2つめの主要な研究目的とした。 MRI計測は、電解質膜内の水分の2次元分布を時系列で計測が可能であるが、当初、膜が重水(D_2O)で湿っていて燃料の水素を供給せずに窒素を供給している段階から、ある時刻で水素に切り換えた。水素は水素側電極でプロトン(H^+)になり、プロトンの存在をMRIにより時々刻々モニターする。プロトンが単純な移流により移動しているのであれば、プロトンが酸素極側に到達しないと発電が開始しない。一方、プロトンが固体高分子膜を構成するスルホン酸基と電子を交換しながらプロトンホッピングと呼ばれるものにより移動していれば、プロトンが酸素極側に到達しないうちに、発電が開始される。この計測を行い、プロトンホッピングが支配的であることを明らかにした。
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