研究概要 |
本研究は,三次元離散化燃料系である燃料液滴群が蒸発,自発着火を経て燃焼に移行する一連の非定常過程を観測し,それらの現象に及ぼす燃料液滴直径,液滴間距離,燃料性状といった主要因子の影響を明らかにすることを目的としている.実験研究を行い,現象の把握を目指すが,その現象を複雑化する自然対流の影響を低減するために,実験には微小重力環境を利用する.また,液滴列や単一液滴も実験対象に加え,その燃焼過程や火炎構造の検討のため,OH自発光計測やレーザ誘起蛍光計測などの非接触測定を行う. 本年度は,以上のような研究方針に沿う実験に必要となる自由落下装置,燃焼実験装置本体,制御装置,計測装置などを製作した.そして,50個程度の燃料液滴で構成される液滴群,10個程度の燃料液滴で構成される液滴群,10個程度の燃料液滴で構成される液滴列および単一燃料液滴を対象として,地上実験を行った.単一燃料液滴については,液滴火炎内側に存在するすすの分布を非接触で計測し,燃料性状の影響について検討した.液滴列については,一端より非定常に燃え拡がる際の速度に注目し,その速度に及ぼす液滴間隔および燃料性状の影響について検討した.そして,液滴群については,自発着火に要する時間や火炎の成長挙動に及ぼす液滴間隔の影響について検討した.液滴列の燃え拡がりと液滴群の火炎成長においては,間欠的な挙動が観察され,現象の非定常性が強く現れることが確認された.また,通常重力下における液滴群の火炎挙動は,燃焼過程の後期に自然対流の影響を強く受けていると見なされる結果が得られた.
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