研究課題
相殺型パルス管として、内径20mm、長さ200mmの薄肉ステンレス管を用いて製作した4本管(2対のパルス管冷凍機を構成)の対面する2本の管に蓄冷器を装填し、実際に冷却可能なU字型パルス管冷凍機を構成した。蓄冷器は#100のステンレスメッシュを約500枚ずつ、G10の筒に枚数をほぼ一致させて詰めたもので、2対間の流体抵抗等の差が極力小さくなるようにした。相殺効果が大きく現れるようにパルス管を長くしたので、蓄冷器にはG10のスペーサを用いている。180度位相が異なる圧力波形は、GM圧縮機の高低圧を電磁弁によって切り替え発生させた。まず蓄冷器を入れないで振動相殺の基本動作を確認したところ、ΔPが約1MPaの時で、3.4μm(1本管の場合)が0.082μm(4本管逆位相圧力相殺時)であった。実際の振動相殺型パルス管冷凍機としての性能は、冷却部を断熱真空容器にセットし、反射型光学振動センサー、低温温度センサーを取り付けて測定した。冷凍性能はヒーター等を設置せず、最低到達温度で評価した。4本管のうち、まず1対のパルス管冷凍機のみ作動させ、振動と温度測定を行った。その結果、168Kまで到達、振動レベルは1本管とほぼ同等であった。続いてもう1対のパルス管冷凍機を作動させ、そちらには180度逆位相の圧力で冷却を行い、振動を相殺した。この時の低温端振動レベルは約1μmであり、振動相殺効果は70%程度にとどまった。本相殺方式の理論的前提は、2対のパルス管冷凍機が作動ガス圧に対して対称性を保つという点にあるので、蓄冷器を挿入することによる圧力対称性の崩れ、特に圧力波の位相の影響が現れているものと考えられる。外部のバルブ等により調整の余地があるので、改善の余地はあるものと思われる。
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Adances in Cryogenic Engineering Vol.51
ページ: 1325-1331
第73回2005年度秋季低温工学・超電導学会講演概要集
ページ: 80
Presented at ACASC 2005