研究概要 |
運動する質点が,接触して静止する第2,第3の質点に衝突する場合,質量の選定によっては第2の質点を静止させたままで,第1の質点の運動量を第3の質点の運動量に交換することができる.本研究は,この原理を慣性力だけでなく復元力が作用する構造物に適用し,構造物に働く衝撃力の低減を狙ったものである. 床衝撃音低減用のダンパに関しては,研究実施計画書と対比して以下の研究成果を得た. コンクリートスラブに伝搬する衝撃力の経路として、(1)床→根太・大引→防振ゴム→スラブの順に伝わる固体伝搬経路と(2)床→床とコンクリートスラブの間の空気→スラブの順に伝わる空気伝搬経路とが考えられる。通常は固体伝搬が大きいが、床とスラブの距離が短い場合には、空気ばねのバネ定数が大きくなり、空気伝搬経路も考慮する必要があることが、理論解析と実験との対比により明らかになった。このため床用ダンパの設置位置は、空気ばねの影響を考慮して検討する必要がある。 鍛造機の衝撃力低減用ダンパに関しては,以下の研究成果を得た. ・昨年度に検討した模型鍛造機と衝撃吸収ダンパを設計し、製作した。 ・上記の模型装置を用いて、地盤に伝搬する衝撃力とプレス面の振動の両者を測定し、昨年度に作成した解析モデル計算値と比較して、良好な一致を得た。 ・妥当性を確認した解析モデルを用いて、プレス機械用ダンパの効果を検討したところ、従来の浮き床式防振構造を大幅に軽量化できる可能性が示された。また電磁石を用いて予圧縮を与えると、ダンパ効果を向上できることが分かった。
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