研究概要 |
多孔質を作っている材料の選択として、ダンパの材料としてはフジシリシア製SMB70-20-MT-C8が適していることがわかった。コロイダルダンパはエネルギ消散の原理から圧縮の時のみ効果が生じるので、往復両ストロークで減衰を生じさせるためには機構学的な工夫をしたダンパとして与圧を掛けておく方法が簡単で有用であることがわかった。コロイダルダンパの特性に関する実験的研究では低温、高温下で動作できるために不凍液・不蒸発液を用いることによって-25〜155℃まで使用温度範囲を拡大できた。また長時間連続で動作させる耐久試験を行い、シリカゲルに水を用いた場合、260分(78,000回)以上耐久性が持続することを確認した。次に、自動車の一輪をモデル化したダンパシステムの実験を行い、実用化に向けての問題点の洗い出しを行い、コロイダルダンパの研究方針を新しく定めることができると共に、コロイダルダンパの数学モデル式の作成を行ったが、系が履歴特性を持つ非線形であるため、精度の良いモデルは作ることができなかった。分子の集合体によりシリカゲルで細穴を作り、その中へ水クラスタを入れるシミュレーションで前年度は圧力や温度の関係をうまく表現するシミュレーションができていなかったが、本年度はそれを実現する技術を確立し、さらに疎水性コーティング、親水性コーティングの違いを表わすシミュレーション技術を確立し、コロイダルダンパの開発に役立つシミュレーション技術に向けて進めることができた。新しく継続する研究として自動車の前面衝突時の緩衝装置を想定して時速30km/hまで実験できるロングストロークのコロイダルダンパの設計およびそれを実験できる実験装置の設計を行った。
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