研究概要 |
本研究は,上肢切断者の運動機能再建を支援するために,切断者に残されたあらゆる可能性を自動的に探索し,さらに,新しい機能を開拓するような能動型適応システムの構築を目的として行なった.平成16年度においては, 1)機能的電気刺激を応用した触覚及び力覚バイオフィードバックシステムの構築を行なった.システムは,フォトカプラを用いて,刺激装置とフィードバックシステムを電気的に切り離すことにより,筋電位計測や接触センサー情報計測に影響を与えない安定した刺激装置を開発した. 2)残存機能の能動的探索理論として,SOM(自己組織化マップ)を用いたフィルターリング手法の構築し,従来手法と比較することによって,高い識別能力(90%)を有すること,および,時間経過に対して識別精度が低下しないことなど,その有効性を検証した. 3)個性適応機能を有する制御システムとして,筋電位センサーとその増幅回路および情報処理回路を小型化し,20,000円以内で製作可能な低価格システムを実現した.本システムにおいては,12chの筋電位センサーを用いて4動作を識別可能であることが確かめられた.しかしながら,識別精度については,未だ調整中である. 4)ヒトの手のメカニズムを模倣することにより,パラレルワイヤー型干渉駆動機構を開発し,母指関節(2自由度)と手首部(3自由度)に適用することにより,軽量高出力を同時に実現する多機能電動義手を実現した.また,その他,示指から小指までの干渉駆動機構については,現在開発中である. これらの研究成果は,英文誌および国際ワークショップなどに発表した.
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