研究概要 |
比較的少数の関節自由度でもそれを活用することにより,移動と作業の両機能を備えた高機能ロボットが開発できることを示すことが本研究の目的である.その例として膝立ち姿勢をとり脚を腕として活用できる脚ロボット,および上体部をパラレルメカニズムとする移動ロボットの開発を進めてきた. 前者は2脚が膝立ち姿勢をとり胴体を支え,残り4脚が腕として作業が実行できる6脚ロボットである.膝立ちする2脚が胴体と4脚の重量を支えなければならず,その膝関節には大きな負荷がかかる.そこでその負荷に耐えられるような重力補償機構を考案し,それを組み込んだ脚を開発した.その効果を実験的に検証し,重力補償機構がない場合に比べて2倍の重量が持ち上げられること,その結果20kgの負荷を持ち上げられること,同じ重量であれば半分の電流消費量で持ち上げられることを確認した.エネルギー消費量では4分の1になり大きな効果である. 一方,脚ロボットの膝関節にはモータを根元部に配置する干渉駆動方式が一般的に用いられ,本ロボットでもその方式を採用している.干渉駆動方式では,膝立ち姿勢時に腰関節にも大きな負荷がかかることが問題であった.提案した膝関節トルク補償機構は膝関節だけではなく腰関節トルクも軽減させる二重の効果があることを明らかにした. 上体部に4自由度のパラレルメカニズムを有する移動ロボット,強力な力を発生できるハンドとともに,ロボットの高機能化のための様々な関節自由度活用方式,および重量を支えるための様々な関節駆動方式を提案した.高機能なロボットを開発するために基盤技術を示すことができた.
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