研究概要 |
今年度の科学研究費助成により,フォトクロミック色素ドープナノ微小球配列光ディスクについての研究開発を主に行った.その結果,下記に挙げるいくつかの成果を得ることができた。 レーザ色素としても知られるローダミンB色素を500nmのポリスチレン微小球にドープし,3次元ディスク化する技術を構築した.ポリスチレン微小球を色素溶媒中で高温膨潤させ,色素を拡散熱ドープすることに成功した.今年度は色素の微小球への膨潤ドープが可能か否かを調べるため,耐温度特性の優れたヒートモード色素を用いたが,次年度以降はフォトクロミック色素を実際にドープして,ディスクの3次元構造化を試みる.ドープ可能な色素濃度,基盤への微小球吸着の安定性など実用に十分耐えうるものであることが実証された。 加えて,微小球光ディスクを高空間分解で再生可能な非線形偏光干渉共焦点顕微鏡の設計も行った.この顕微鏡の有用性を調べるために,同顕微鏡を基本構成光学系を使って,試作したヒートモード光ディスクの3次元屈折率分布計測を行い、非常に高いコントラストにて微小の配列状態を計測することができた。極微小領域での3次元屈折率分布を捕らえることに成功した。ところが、設計した共焦点顕微鏡のz軸方向での空間分解能は3um程度であり,LD光源のコリメート光学系における各種収差等まで含めた総合的な考察が今後の課題である.ただし,本研究の付加的成果ではあるが,同顕微鏡は3次元光メモリの再生光学系としてのみならず,タンパク質等のナノ微小吸収媒体の3次元非線形計測などにも非常に有用であると考えられ、今後の医光学領域研究への波及効果も大いに期待できる。
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