研究概要 |
最終年度の科学研究費助成により,共焦点レーザ偏光顕微鏡を利用したナノ微小球配列3次元光メモリに関する研究を行い,下記に挙げる成果を得ることができた。 (1)微小球配列三次元光ディスクの作製 直径500nmサイズの微小球を干渉露光によって形成した2次元格子上へ3次元に均一配列させる方法として,引き上げ法や凝固法を検討してきたが,一度に大面積のディスクを3次元形成するには界面活性剤(ドデジル酸使用)を利用した基板の濡れ性の向上が必要であることが分かった.結果,微小球懸濁液にドデジル酸をドープし,濡れ性の向上を図ることにより,小面積ではあるが3次元微小球光ディスクの作製に成功した. (2)再生光学系の設計 微小球をダウンサイズして容量を稼ぐには記録時の光学系よりも再生時のそれが非常に重要であることが分かった.対物レンズの開口数と焦点深度によって制限を受ける通常の共焦点光学顕微鏡では得られる分解能が高々500nm程度となり,これをクリアしない限り,微小球のダウンサイズは難しいことが分かった.但し,最終年度において,光軸方向のみではあるが,分解能の壁を打破できる新技術開発の糸口をつかんだ.そのブレークスルーとして今年度は非線形散乱を利用した光波混合型の共焦点干渉計の導入を試み,ほぼ原理的には十分実用に耐えうるシステムであることが証明できた.この成果について高インパクトファクタで有名なOptics Letters誌に投稿した.
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