研究課題/領域番号 |
16360125
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
青村 茂 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (20281248)
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研究分担者 |
吉村 卓也 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (50220736)
菊池 恵美子 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (40186193)
木之瀬 隆 首都大学東京, 健康福祉学部, 講師 (10214850)
舘野 寿丈 首都大学東京, システムデザイン学部, 助手 (30236559)
藤原 敏 横浜市立大学, 医学部, 教授 (20173487)
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キーワード | 四肢麻痺者 / 車椅子安全評価 / 下半身麻痺者 / 車載車椅子 / 筋電センサー |
研究概要 |
車椅子に乗ったまま車で移送される体の不自由な搭乗者の安全を守るための基準を提言するための研究を3年計画で行っており、今年で2年目を終了した。基準作成のためには体が不自由な人の挙動の定量評価が必要となるが、障害者を対象とした実験は精神的および肉体的負担が大きいことから多くを行えない。そのため近年、車両衝突における挙動解析シミュレーションが数多く報告されているが健常者を対象としているためそのままでは使えない。 本研究では上記の背景に鑑み、走行中車内の車椅子利用者(障害者)の挙動をシミュレーションできるモデルの作成を行った。車椅子座乗中のヒトを頭部と体幹に分かれた剛体節とし、単純なバネマス系ではなく、筋や反射を考慮してモデル化した。 頚部と腰部の角度変位、慣性マトリックス、遠心力および重力に関する項、筋張力によるトルク、靭帯や軟部組織によるトルク、そして外力によるトルク、座面加速度を含む運動方程式を求めた。この方程式を用いてシミュレーションを行うために、能動筋モーメント、関節受動モーメントをモデル化した。筋モデルには最も一般的なHillの筋モデルを用いた。脊髄から筋へ伝達される筋活動は頸部角度変位、腰部角度変位、腰椎の加速度そして上位からの一定入力の関数で表されると仮定し、筋活動をモデル化した。なお、脊髄の反射パラメータを求めるために、体の不自由な人(肩麻痺2名、全身麻痺1名)に協力頂き、車椅子を固定した台車の急停車実験を行い、その際の筋活動を計測して推定した。 シミュレーションの結果、以下の結論を得た。 1)車椅子座乗時のヒトを頭部と体幹部に分かれた剛体節と仮定し、それらを制御対象とする筋骨格モデルを作成した。 2)本モデルを用いて、急停車時のヒトの挙動をシミュレーションできることを示した。 3)シミュレーションによって障害の症状が姿勢動揺を大きくすることを明らかにした。 次年度はこのモデルを用いて、急発進に対するシミュレーションも実施し、具体的な安全基準の提言へとつなげる。
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