研究概要 |
つま先にバネをもつ走行ロボットHRP-2LTに対応した走行パターンジェネレータの開発を行った.つま先バネの特性を生かした走行を行うことによって,現状の関節モータを変更することなく,時速3km(支持期間0.3s,跳躍期間0.06s,一歩0.3m)の走行が可能なことを確認した.さらに,シミュレータ上で関節角度再生だけによる時速3kmの走行が可能なことを確認した.ただし,現状では姿勢の乱れが大きいため実機による実験を行う前に適切な安定化制御系を構築する必要がある.次に,ゲイトモーフィングの考え方を用い,ZMPの未来軌道の時間伸縮によってバランスを維持する安定化制御方式を検討した.その結果,予見制御に基づく歩行パターン生成システムに逆システムを追加し,ZMPの未来軌道の位相を適切にコントロールすることでバランス制御が可能なことを見出した.この手法をパターンジェネレータとして実装し,シミュレーション上で±3cmの凹凸路面を踏破できることを確認した.一方,出力零化制御に基づく人間型ロボットの走行運動制御系を構築し,2次元シミュレーション上で時速10kmの安定した連続走行を実現した.この手法は,目標時間軌道をまったく用いずにロバストな走行運動を作り出せる点できわめて有望である.ハードウェアに関しては足部に既存のCFRPを用いた義足を取り付けるアダプターの開発,および,HRP-2LTのオーバーホールを行った.また,2足走行ロボットに要求される大トルクの出力に適した減速装置を考案し,試作を行って基礎的な原理を確認した.
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