研究概要 |
平成16年度から平成17年度にわたり,環境と運転性能を両立する車載用ターボチャージャの超高速電動ドライブに関する研究を行い,以下の主たる知見や研究成果が得られた。 (1)ターボチャージャ用超高速電動ドライブの開発 72V直流バス電源に対応した電動アシストターボチャージャ用の超高速永久磁石モータ/ジェネレータを試作した。固定子は0.15mm超薄手電磁鋼板を使用して6スロット集中巻きで構成した。回転子はネオジウム系円筒磁石をカーボンファイバと合金スリーブで補強して構成した。 この超高速モータ/ジェネレータを駆動する電力変換器として擬似電流形インバータを採用し,主回路およびゲートドライブ回路を1枚の4層ガラスエポキシ大電流プリント基板で構成した。 組合せ試験の結果,回生運転においては120,000r/minにおいて1.3kWの電力を回収できることを確認し,力行運転では120,000r/minにおいて2.2kWのインバータ出力を確認するとともに220,000r/minまでの定出力運転を実現した。なお,本システムを用いることにより,従来のターボチャージャと比較して45%もの過給圧力応答時間(ターボラグ)の改善を図ることができた。 (2)スーパーチャージャ用超高速電動ドライブの開発 72V直流バス電源に対応した電動スーパーチャージャ用の超高速永久磁石モータを試作した。ターポチャージャ用と異なり,3スロット集中巻き構成の固定子コアとサマリウムコバルト系円筒磁石を有する回転子を採用した。ヒれを駆動する電力変換器は擬似電流形インバータとし,ターボチャージャの場合とほぼ同じ構成とした。 組合せ試験では、160,000r/minで2.7kWのインバータ出力を確認し,過給圧力応答時間(ターボラグ)を0.5sにまで改善することができた。 (3)超高速モータの効率測定と損失分析 スーパーチャージャ用に試作した超高速モータをベースに,2台の超高速モータを組み合せたモータ・ジェネレータセットを新たに開発した。これを利用してモータの運転特性を計測した結果,最高効率は79%、力率は62%となった。また,磁界解析によりこのときの損失分析を行い、永久磁石の渦電流損が全損失の38%を占め支配的であることがわかった。
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