研究課題
基盤研究(B)
研究の初年度である本年度は、シリコーンゴムなどの撥水性高分子電気絶縁材料の、初期表面劣化診断指標として用いられている接触角測定や、STRI法に代表される試料表面全体の撥水画像を観測する手法の、両方の利点をふまえた新しい高分子材料表面の劣化診断手法を開発することを目指した。このため、撥水状態の試料表面画像や水滴の交流電界下における動的挙動の動画像解析と、高電界誘電計測を併用する劣化診断技術を開発し、より信頼性に富む劣化診断・材料評価システムを構築するための、基礎的研究を行った。具体的には、撥水性に関係した交流電界下における水滴の動的挙動を、その動画像解析と誘電特性の計測により解析可能とすることにより、接触角測定の測定位置によるばらつきや、撥水画像の接触角情報の欠落を補った、試料内部への深さ方向の診断能力を有する画期的な高分子材料表面劣化診断技術の開発を進めた。研究代表者が従来構築してきた動画像解析と誘電計測を併用した高分子材料の表面状態評価技術を用いて、高分子材料の初期劣化過程を、その表面深さ方向への分解能を有する誘電計測により診断する上での問題点は、一つの材料に関してはこのマクロな計測技術により定量的にその表面状態を評価可能であったが、今回電気学会調査専門委員会協同実験用共通試料として用いた8種類の試料間の比較評価など、充填剤の界面状態が大きく影響すると考えられる場合には、充填剤界面のミクロな観測が必要不可欠だと考えられたことである。これに関しては本年度購入したレーザ顕微鏡を用いたサブミクロンレベルの立体形状計測により、試料表面から内部に至るミクロな界面状態の変化と、今年度確立した表面深さ分解能を有する誘電計測による測定結果とを今後比較検討することにより、充填剤界面のミクロな変化が撥水性や誘電特性というマクロな測定結果にどの様に影響するのかを明らかにしていく。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (8件)
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