研究課題/領域番号 |
16360143
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 眞史 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10322835)
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研究分担者 |
植村 哲也 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (20344476)
松田 健一 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (80360931)
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キーワード | 強磁性トンネル接合 / エピタキシャル成長 / トンネル磁気抵抗 / ハーフメタル強磁性 / MRAM / フルホイスラー合金 |
研究概要 |
本研究では、強磁性エピタキシャル多重障壁構造の製作技術を確立すると共に、スピン共鳴トンネルデバイスの基盤技術を構築することを目的としている。本研究の第一の課題は、良質な強磁性金属量子井戸のエピタキシャル成長技術の確立である。本年度は、この課題の元、エピタキシャル強磁性多重障壁構造のうち、下部強磁性層/極薄絶縁層/上部強磁性層までのエピタキシャル積層構造製作技術を確立することを目標とした。強磁性電極としては、いくつかの物質に対して、ハーフメタル強磁性体(フェルミレベルにおいて、一方のスピン方向の電子のみが存在するため、スピン偏極率が100%となる強磁性体)の可能性が理論的に指摘され、かつ、キュリー温度が室温よりも十分に高い特徴を有するCo系フルホイスラー合金に着目した。具体的に、Co_2(Cr_<0.6>Fe_<0.4>)Al(CCFA)とMgOの間の格子不整合が-3.6%程度と比較的小さいことに着目し、CCFAを下部電極層、極薄MgOをトンネルバリアとする、エピタキシャルCCFA/MgO/CoFe強磁性トンネル接合(MTJ)を製作した。基板としてはMgO単結晶基板を用いた。超高真空チャンバーの中で、MgOバッファ層を含めた各層を連続的に堆積した。CCFA層とCoFe層はマグネトロンスパッタ法により、MgO層は電子ビーム蒸着法により製作した。RHEEDその場観察により、すべての層がエピタキシャル成長していることを確認した。この層構造を用いて、8μm x 8μmの寸法の強磁性トンネル接合(MTJ)を製作し、トンネル磁気抵抗比として、室温で42%、低温(55K)で74%の、ホイスラー合金を用いたMTJとしては比較的大きな値を実証した。以上、ハーフメタル強磁性体としてスピン偏極率が大きいと予想されるCo系ホイスラー合金を用いたエピタキシャル強磁性トンネル接合の基盤技術を構築した。
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