研究課題
基盤研究(B)
Nb_3Sn線材を用いて反応後にコイル巻きする手法(R&W法)によって超伝導マグネットを作製するためには、コイルを作製する過程で種々の曲げ歪を受けるために、曲げ歪と超伝導特性の関係を調べておかなければならない。これまでは、曲げ歪は0.5%が限界とされていたが、本研究によって高強度Nb_3Sn線材では繰り返し曲げ歪は1.2%まで耐えることが分かった。さらに繰り返し曲げ歪は臨界電流を劣化させると考えられていたが、逆に大きなエンハンス効果が見られ、20Tではエンハンス効果が2倍にもなることが分かった。この臨界電流のエンハンス効果は、臨界温度の向上に起因することが判明し、繰り返し曲げを加えると曲げ1.2%ではT_cが17.4Kから17.9Kまで向上している。その結果、上部臨界磁場が23.7Tから25.2Tまで大きくなることが分かった。R&W法によってコイルを作製することが十分可能であることを意味している。これを確認するためにCuNbで補強した高強度Nb_3Sn線材をドラムに巻いて熱処理し、その熱処理済線材を用いて事前繰り返し曲げ歪の効果を調べてみた。曲げ歪0.5%、0.8%、1.0%のローラによって10回繰り返し曲げ歪を加えた線材に対して、0.5%曲げ歪のコイル形状に数10ターンの1層コイルをテストコイルとして作製した。10Tのバックアップ磁場中で通電試験を行った結果、予想通りのコイル性能が確認できた。テストコイルには電磁力が圧縮歪と引張歪の2通りの通電方向で電流を流したが、圧縮歪側では全く劣化がなく、引張側ではフープ力300MPaによる電流の低下があった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件)
Proc.Inter.Workshop on Progress of Nb-Based Superconductors, edited by K.Inoue, T.Takeuchi and A.Kikuchi
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低温工学 39
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ASC/04 (発表予定)