研究概要 |
1.LaMnO_3-BaTiO_3系強磁性・強誘電性共存複合セラミックスの電界誘起磁化変化 (1)LaMnO_3-Ba(Ti, Zr)O_3複合セラミックスにおける電界誘起磁化変化 室温での誘電率の大きなBa(Ti, Zr)O_3とLaMnO_3との複合体を作製し、この複合体がBaTiO_3系に比べ高温焼結でも高い抵抗率と大きな磁化を示す強磁性・強誘電性共存物質であること、750V/mm電界印加に対し17%と大きな磁化変化を示すことを明らかにした。しかし、応答速度の改善は見られなかった。 (2)BaTiO_3/(LaBa)MnO_3/BaTiO_3薄膜構造における電界誘起磁化変化の検証 析出相としての可能性が考えられる(LaBa)MnO_3強磁性相薄膜をBaTiO_3層で挟んだ強磁性・強誘電性共存エピタキシャル構造を作製し、応答速度は遅いものの4Vの電圧印加に対し2.2%の磁化変化を観察した。これにより、複合体で観察された電界誘起磁化変化が熱的効果、強磁性層の電界による変調であることが直接示された。 2.新たな強磁性剤強誘電性共存材料の探査 (1)Pb(Zr, Ti)O_3-LaMnO_3複合セラミックスにおける電界誘起磁化変化の探査 大きな電気分極を持つPZT系とLaMnO_3の複合体を作製し、これらがBaTiO_3系に比べ高い強誘電性キュリー温度と大きな分極を持つ強磁性・強誘電性共存酸化物であり、期待どおり低電圧印加により大きな電界誘起磁化変化を示す(室温で0.4kV/mm印加に対し自発磁化変化30%)ことを世界で初めて明らかにした。 (2)Fe : BaTiO_3の作製と強磁性・強誘電性共存条件の探査 新たな強磁性・強誘電性共存複合体としてMn系に比べ1桁大きな磁化と低保持力を持つBa_<12>Fe_<28>Ti_<15>O_<84>-BaTiO_3系を見出した。この系は1300℃でも安定に二相が共存し、高い焼結密度が得られる。
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