研究課題/領域番号 |
16360152
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高岡 義寛 京都大学, 工学研究科, 教授 (90135525)
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研究分担者 |
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
川下 将一 京都大学, 工学研究科, 講師 (70314234)
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キーワード | 液体クラスターイオン / イオンビーム / スパッタ / 表面改質 / 親・疎水性 / 質量分離 / TOF |
研究概要 |
数百から数万個の原子(あるいは分子)から構成されるグラスターは、ナノサイズの微粒子であり、表面を占める原子数が極めて大きいため、特異な性質を持っている。その物理的・化学的性質はバルク状態とは異なり、新規材料や先進材料として材料科学的に興味が持たれている。本研究では、水やアルコールなどの液体クラスターイオンビームを固体表面に照射し、表面加工や表面改質を行って、固体表面の高機能化をナノレベルで行うことを目的としている。 平成17年度は、比較的小さなクラスターサイズの水やエタノールクラスターを生成するために、室温で蒸発する水やエタノール分子に数気圧のヘリウムガスを混合してノズルから噴射させ、TOF法によってサイズ分析を行った。水クラスターではピークサイズが250、エタノールでは1250のクラスターが生成し、特にエタノールクラスターではサイズが100以下の小さなクラスターが生成できることが分かった。さらに、これらの小さなクラスターイオンを、従来の質量分離器を用いてサイズ分離し、特定のサイズや構造を持ったクラスターイオンを取り出す足掛かりを得ることが出来た。 また、サイズ分析の結果と併せて、生成した水やエタノールなどの液体クラスターをイオン化・加速して、半導体や金属などの表面に照射し、表面照射効果を明らかにした。特に、Si基板に水クラスターイオンを照射すると、Si表面は超親水性になり、エタノールクラスターイオン照射では撥水性になることが分かった。さらに、Ti基板では、クラスターイオン照射による親・疎水性の表面改質がSi基板の場合と逆になることが分かった。なお、SiやTi基板表面は、従来のモノマーイオンビーム照射と比較して、数十倍から数百倍スパッタされやすく、また表面粗さは1nm以下であった。このように、液体クラスターイオンビーム技術を用いて、固体表面の高機能化に成功した。
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