研究概要 |
(1)秩序-無秩序人工格子によるリラクサーメカニズムの解明 従来の人工格子研究は、すべて「自然界に存在しない秩序構造を人為的に導入する」という、人工秩序構造の構築に主眼が置かれてきた。しかし、本研究では、従来の常識を破った逆転の発想である「無秩序性の人為的な導入制御」を実施した。 BaTiO_3-BaZrO_3(Bサイトイオン 4価の系の秩序-無秩序制御)に加えて BaTiO_3-BaHfO_3(同系) の秩序-無秩序人工格子を合成し、比較検討を行い、価数ではなくイオン配列秩序が重要であることを明らかにした。 (2)スピン・双極子グラス状態における統一概念の構築 スピングラス、双極子グラス(リラクサー)は、これまで全く別々に取り扱われてきたが、"これらは相共存状態における不安定性が引き起こす、外場敏感応答、巨大物性"という、物性発現機構のもとに新しい統一メカニズムで解釈できると考えた。 スピネル系スピングラス物質:(Mg,Ti)Fe_2O_4、(Co,Al)Fe_2O_4およびガーネット系:YFeO_<12>等と比較することで、モーメント相関相互作用の距離因子(長距離か短距離)、構成元素・イオン配列の規則性(不規則性)などの支配因子等を明らかにすることを実施した。従来別々に取り扱われていた現象に統一メカニズムを見出し、この物質設計指針をもとに、新しい高機能誘電体材料を創製することを目指し、研究を行った。
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