研究課題/領域番号 |
16360160
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大木 義路 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70103611)
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研究分担者 |
濱 義昌 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40063680)
宗田 孝之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90171371)
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キーワード | ゲート絶縁膜 / 高誘電率材料 / ハフニウムシリケート / ジルコニウムシリケート / ハフニア / ジルコニア / プラズマ化学気相堆積法 / フォトルミネセンス |
研究概要 |
近年の半導体デバイスの更なる高集積化に伴い、次世代CMOSのゲート絶縁膜として高誘電率材料の利用が検討されている。本年度は、候補材料であるハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、ハフニア、ジルコニアをプラズマ化学気相堆積法、上記の一部をスピンコート法より成膜した。薄膜試料は、分析機器による系統的な研究を行うのが難しいため、比較試料として、単結晶バルク試料であるイットリア安定化ジルコニア、ランタンアルミネート及びアルミナも用いた。フォトルミネセンス法(PL)、電子スピン共鳴法(ESR)、光電子スペクトル法により電子状態を調べた。 1.PL法による膜内欠陥および不純物の解析:シンクロトロン放射光を用いたPLスペクトル解析、PL寿命測定ならびに真空紫外域の光吸収測定より、ハフニア、ジルコニア、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケートに共通するPL発光の原因は、バンド裾準位が関与した励起電子の緩和過程において生じることを明らかにした。 2.ランタンアルミネート及びアルミナ単結晶の光電子スペクトルにおける化学シフトの考察:光電子スペクトル測定からアルファアルミナの酸素1s電子の束縛エネルギーはランタンアルミネートより1.4eV大きいことが分かった。この化学シフトの原因の一つと考えられる緩和エネルギーの寄与を、理論式より見積もり、化学シフト+1.4eVのうち、+1.2eVであることを明らかとした。 本研究以前の研究も合わせ、シリカ、シリコンオキシナイトライド、シリコンナイトライド、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、ハフニア、ジルコニア、ランタンアルミネート及びアルミナよりなる一連の無機絶縁性薄膜の禁制帯中局在準位および電子状態を系統的に明らかに出来たことになる。これは、所望の性質を具備した膜の堆積につながる優れた知見であると考えている。
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