• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

反応拡散ダイナミクスを利用して情報処理を行う結合量子ドット集積デバイス

研究課題

研究課題/領域番号 16360162
研究機関北海道大学

研究代表者

雨宮 好仁  北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80250489)

研究分担者 福井 孝志  北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30240641)
浅井 哲也  北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (00312380)
廣瀬 哲也  北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (70396315)
キーワード反応拡散系 / 量子ナノ / 単電子 / 非線形振動 / 散逸構造 / パターン / 自己組織化 / 生命ダイナミクス
研究概要

反応拡散系とは、反応現象と拡散現象が混在した非平衡な化学反応系のことである。自然界で見られる生き生きとしたダイナミクス-たとえば秩序やリズムの発生,いろいろな形や模様の成長,生命現象に現れる各種の自己組織化-などは反応拡散系が示す挙動の典型例である。秩序ある時空間パターンの自律生成という反応拡散系の性質を電子デバイス上で模倣して画像情報処理や自律分散制御を行うために、以下の提案と確認を行った。
反応拡散系の構成要素は「非線形振動を発生する反応セル集合体」と「反応セル間に働く相互作用」である。これを電子回路で模倣するために、量子ドット集積構造を利用した単電子回路の非線形振動セルを用いることを提案した。すなわち量子ドットと基板との間にトンネル接合をつくり、その量子ドット回路に多重トンネル接合でバイアス電流を流す。クーロンブロッケードが成立する温度のもとで、量子ドット回路は単電子トンネル振動を生じて非線形振動セルとなる。そして、トンネル待ち時間による遅れを利用したキャパシタ結合により拡散に類似した振動セル間相互作用を発生させる。
以上の構成による二次元の量子ドット反応拡散デバイスを設計し、その上に現れる電位の時空間パターンをシミュレーションで確認した。回路パラメータと初期条件に依存して様々なパターン、たとえば細胞性粘菌が描く螺旋パターンや細胞の分裂に類似した増殖パターンなどが見られた。これらのダイナミクスは、化学的な反応拡散系のダイナミクス、さらには生命現象の中に現れるダイナミクスに類似したところがある。らせんや分裂増殖などのパターンの成長は、動作途中に外から操作を受けることなくデバイス自身が作り出すものである。これは生命現象における自己組織化などの挙動に類似している。したがって、量子ドット反応拡散デバイスは生体機能を模した新しい情報処理デバイスへの応用が期待できる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] On the fault tolerance of a clustered single-electron neural network for differential enhancement2005

    • 著者名/発表者名
      Oya T.
    • 雑誌名

      IEICE Electronics Express, vol.2 no.3

      ページ: 76-80

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Reaction-diffusion systems consisting of single-electron circuits2005

    • 著者名/発表者名
      Oya T.
    • 雑誌名

      International Journal of Unconventional Computing vol.1 no.2

      ページ: 177-194

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Analog reaction-diffusion chip imitating the Belousov-Zhabotinsky reaction with Hardware Oregonator Model2005

    • 著者名/発表者名
      Asai T.
    • 雑誌名

      International Journal of Unconventional Computing vol.1 no.2

      ページ: 123-147

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Analog CMOS implementation of a locomotion controller with floating-gate devices2005

    • 著者名/発表者名
      Nakada K.
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Circuits and Systems I vol.5 no.6

      ページ: 1095-1103

  • [雑誌論文] Ultralow-power current reference circuit with low temperature dependence2005

    • 著者名/発表者名
      Hirose T.
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Electronics E88-C no.6

      ページ: 1142-1147

  • [雑誌論文] A quadrilateral-object composer for binary images with reaction-diffusion cellular automata2005

    • 著者名/発表者名
      Asai T.
    • 雑誌名

      International Journal of Parallel, Emergent and Distributed Systems, vol. 20 no.1

      ページ: 57-68

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi