研究概要 |
現在、フォトニックネットワークの実現に向け、さまざまな全光処理デバイスが研究されている。これらの全光処理デバイスには半導体型、ファイバ型の2種類があるが、それぞれに一長一短があり、実用的な全光処理デバイスは実現されていない。そこで、本研究では光非線形素子として非常に注目を集めているカーボンナノチューブ(CNT)を用いたデバイスの研究を行っている。 本研究では、CNTの光非線形性として可飽和吸収性を用いて受動モード同期短パルスファイバレーザを実現した。1550nm帯で1.87psの短パルスが得られた。また、CNTの可飽和吸収性は1550nm以外の波長帯でも有効であり、1500nm帯のS-Bandでは1.40psの短パルスが、1600nmのL-Bandでは3.26psのパルスが得られた。 また、丸山のグループでは垂直に配向したCNTを作製することに成功している。これを可飽和吸収体として用いることにより、可飽和吸収量が角度により可変な受動モード同期短パルスファイバレーザを実現した。 さらに、CNTは可飽和吸収体として小型で高速という特長をもつ。これと利得が非常に高いEr:Yb光ファイバ(長さ2cm)と,高反射(〜99.87%)光ファイバミラーとの組み合わせにより,高繰り返し周波数(〜5GHz)受動モード同期光ファイバレーザを実現した。これにより、パルス幅がサブpsで繰り返しが5GHzの安定なパルス発生に成功した。
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