研究課題
基盤研究(B)
順問題がクラスP、逆問題がクラスNPに属する一方向性関数に対する逆問題に対する解を、高速かつ正確に解くことは社会の様々な面で重要になってきている。生活にも密接にからむ身近な問題にも巡回セールスマン問題やナップサック問題などに帰着可能な問題も多く存在する。これらの問題を個人べースで手軽に解くためには、限られた消費電力で高速に解くためのプロセッサが必要となる。とりわけ、逆問題には並列解法が有効であるため、チップマルチプロセッサが適していると考えられる。しかし、一方向性関数に対する逆問題を高速に解くことに特化したチップマルチプロセッサはまだない。そこで、本研究ではそのようなプロセッサを実現するために、重ね合わせの性質を生かして高い並列度の計算力を持つ量子計算を用いて逆問題を解くための計算上の特徴に着目し、同等の計算ステップで逆問題を解くためのマルチプロセッサアーキテクチャの条件を提案した。並列処理中に条件処理を包含させるために、2つの命令を選択し実行する機能を持つプロセッサをFPGAにより実装した。その結果、64bitの整数を持つ因数分解において、動作周波数が3.4GHzである汎用プロセッサ上で同じアルゴリズムを適用した場合に比べて演算時間を35%短縮することを示した。これにより、因数分解や離散対数問題のような、入力の規模に対して2の累乗に比例して計算量が増していく問題を汎用プロセッサよりも低消費電力で高速に解くことを示唆している。また、試作したプロセッサの性能は、320量子ビット相当の量子計算機が処理可能な問題規模と同等であることも示した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Japanese Journal of Applied Physics v43, n4B
ページ: 1690-1694
Extended Abstracts of the 2004 International Conference on Solid State Devices and Materials, Tokyo, 2004
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第8回システムLSIワークショップ講演資料集およびポスター資料集
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