研究課題/領域番号 |
16360170
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮本 恭幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40209953)
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研究分担者 |
町田 信也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70313335)
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キーワード | ヘテロ接合バイポーラトランジスタ / InP / 電子線リソグラフィー / バリステック電子走行 / コレクタ容量 / 極小エミッタ / コレクタ走行時間 / カーク効果 |
研究概要 |
平成16年度の研究について、理論面と実験面の二つの面から示す。 理論的アプローチとしては、本研究で用いる微細構造エミッタではコレクタ中走行電子の横方向の広がりが無視できないことから、2次元デバイスシミュレータにより横方向の広がりを考慮に入れた電子の走行状態および電荷分布を明らかにすることとした。 まず一般的なドリフト拡散モデルに飽和速度のみを入れた時に、ベースからの正孔広がりが微小であっても走行時間に効き、その効果はベース電極下の横方向広がりがエミッタ直下の面積に較べて無視できない微細エミッタでは重要であることを示した。その結果として、細いエミッタでも従来考えられたよりも速い速度が得られることを明らかにした。 また電子の走行状態をより正確に表すフルバンドのモンテカルロ法による2次元デバイスシミュレータでの計算も行い、電子の平均速度等を得た。今後走行時間などの解析に移る。 実験的なアプローチとして、微細コレクタ容量を持つHBTの研究を行った。 タングステン細線の埋め込みによりコレクタ容量を縮小したHBTにおいては、幅0.1ミクロンの金属細線を埋め込んだ構造でコレクタ容量0.6fFという世界最小の容量を得た。この値がこの構造の理論値である0.47fFと近い。 アンダーカットエッチングによりコレクタ容量を縮小したHBTでは、ベース層材料として、当初GaInAsでの作製を試みたが、ベース層ドーパントの活性化とエミッタ低抵抗化を両立させることが難しいことから、GaAsSbに切り替えた。現在プロセスをほぼ確立し、デバイス試作を今後行う予定である。 素子の微細化については、電子ビーム露光法を駆使して、HBTと同じ作製方法で幅25nmのエミッタを持つホットエレクトロントランジスタが動作させうることを示し、従来の100nmより小さい領域でも作製が可能であることを示した。
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